乳酸菌は、私たちの健康に多くの利益をもたらします。便秘の解消、免疫力の向上、肌の改善など、健康を維持するためにはなくてはならない存在です。乳酸菌といえばヨーグルト……と思いがちですが、それ以外にも乳酸菌を豊富に含む食品はたくさんあります。ヨーグルトがあまり好きではない方も、諦める必要はありません! 本記事では、乳酸菌が増やせる食品をご紹介します。
乳酸菌が増やせる食品9選
①チーズ
チーズには、ナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類があります。ナチュラルチーズは加熱をしていないので、生きた乳酸菌がそのまま含まれています。一方プロセスチーズは、作る過程で加熱殺菌をしているため、乳酸菌のパワーは失われます。しかしプロセスチーズは長期保存が可能で、乳酸菌以外の栄養が豊富なので、決して悪いものではありません。
ナチュラルチーズ
タイプ | 特徴 | 例 |
---|---|---|
フレッシュ タイプ |
熟成させずにそのまま食べられる くせが少なく、食べやすい |
カッテージチーズ、マスカルポーネ、モッツァレラなど |
白カビ タイプ |
表面が白いカビで覆われている | カマンベールなど |
青カビ タイプ |
チーズの中に青カビが生えている 風味が強く、味が濃い |
ゴルゴンゾーラなど |
ウォッシュ タイプ |
香りが強烈なので、お酒で洗われている | タレッジョなど |
シェーブル タイプ |
ヤギのミルクで作られる 独特な風味 |
ヴァランセなど |
セミハード タイプ |
日本でおなじみ くせがなく食べやすい |
ゴーダなど |
ハード タイプ |
水分が少なく硬い 重いもので130kgの重量級 |
チェダー、ラクレット、パルミジャーノ・レッジャーノなど |
ナチュラルチーズは、熟成期間が長いほど乳酸菌を多く含みます。特にハードタイプ、セミハードタイプは4か月~2年も熟成させるので、その間に乳酸菌がみっちり詰まっていることでしょう。しかも日本人の口に合うくせのないものが多いので、乳酸菌をとるならこの2タイプがおすすめです。
②キムチ
朝鮮半島発祥と言われるキムチは、乳酸菌を多く含みます。韓国では4〜5日以上発酵・熟成させたものをキムチと呼びます。 (発酵とは……微生物の働きによって、食物が人間にとってよい形に変わること) しかし日本では、発酵していない「キムチ風浅漬け」もキムチとして売られていることがあります。発酵・熟成していないと乳酸菌の効果が見込めません。せっかく食べるなら乳酸菌がたくさんとれたほうがいいですよね。そんなときは、以下の3点に注目してキムチを探してみてください。
- 日本産でも、韓国式の製法で作られている
- 韓国から直輸入されている
- 韓国政府公認の「アルンちゃん」マークがついている(バナナみたいなキャラクターです)
③ぬか漬け
米ぬかに塩や野菜くずなどを漬け込んで発酵させた「ぬか床」に、野菜を漬け込んで作ります。あれ? ここでも「発酵」という言葉が出ましたね。そう、乳酸菌は発酵された食品に含まれていることが多いのです。研究により、ぬか床には12~30種類の善玉菌がいることがわかりました。ヨーグルトには2種類の乳酸菌しかいないので、その多様さに圧倒されます。「そういえばおばあちゃんがぬか漬けを漬けていたなぁ」という方は、ぜひおすそ分けしてもらいましょう。自分でぬか漬けにチャレンジするのもいいですね!
④漬物
ぬか漬け以外の漬物も、発酵させた漬物であれば乳酸菌が豊富に含まれています。塩漬け、麹漬けなど、漬物大国の日本では、さまざまな漬物が食べられます。日本や韓国以外の国にも漬物があるのをご存知ですか? アメリカ・イギリスのピクルス、ドイツのサワークラウト、中国の酸菜(スヮンツァイ)が有名です。これらはどれも塩漬けです。遠くの国々で、同じような製法で調理されているなんて不思議ですね。
⑤味噌
大豆や米を発酵させて作ります。やはりここでも「発酵」。麹菌という微生物の力で、大豆や米の成分がよい方向に変わります。味噌の中で乳酸菌は、その成分をエサにして増えていくのです。ただ、味噌が含む乳酸菌は、加熱するとほとんどが死んでしまいます。そのため、味噌を生で食べるのはもちろん、味噌汁は沸騰する前に味噌を溶くのも有効です。野菜スティックに味噌をつけるとおいしいですよ!
⑥納豆
こちらも大豆を発酵させた食品です。納豆といえば納豆菌ですが、実は乳酸菌は納豆菌が大好物。食べた納豆が腸に入ると、そこで待ち構えていた乳酸菌が納豆菌を食べ、乳酸菌が増えます。納豆は、納豆そのものがたくさんの乳酸菌を含んでいるというより、すでに体内にある乳酸菌を納豆菌が増やしてくれるというイメージが正しいでしょう。つまり、乳酸菌を多く含む食品と納豆を一緒に食べると、効果は倍増です。
⑦甘酒
元旦に地元の神社で振る舞われるイメージのある(ありませんか?)甘酒。正月の冷えた体が甘酒で温まります。そんな甘酒は、「麹甘酒」と「酒粕甘酒の2種類に分かれています。麹甘酒は、炊いたご飯に米麹を加えたもので、アルコールが入っていないので子どもでも飲むことができます。酒粕甘酒は、麹甘酒+砂糖・アルコールが一般的です。これらは、どちらもお米と米麹を発酵させて作るので、製造の段階で乳酸菌が発生していきます。さらに酒粕甘酒なら、酒粕自体にも乳酸菌が含まれています。甘酒にはそれ以外にも、オリゴ糖、食物繊維、ビタミンB、ブドウ糖などの栄養素が豊富です。
⑧コンブチャ
アジアが発祥と言われている発酵飲料です。紅茶や緑茶に砂糖と微生物を入れて作るもので、「昆布茶(こぶちゃ)」とは関係がありません。作る過程でゲル状の塊ができ、それがキノコに見えることから「紅茶キノコ」とも呼ばれています。このゲル状の塊が発酵の目安になっており、発酵させるおかげで酸味のあるフルーティな風味を楽しめます。乳酸菌の他にも、酵母菌、ポリフェノールなどの栄養が含まれています。材料を混ぜて置いておくだけで作れるので、紅茶がお好きな方はぜひお試しください。
⑨ケフィア
ヨーグルトと間違われやすいケフィア。どちらも牛乳をもとにして作られますが、ヨーグルトは乳酸菌のみを発酵させたもの、一方ケフィアは乳酸菌に酵母などを合わせて発酵させたものという違いがあります。さらに、ヨーグルトは2種類の乳酸菌で作られていますが、ケフィアはなんと40種類もの乳酸菌が用いられます。酵母というとパンを膨らませるというイメージがありませんか? 酵母は、発酵の過程でアミノ酸やビタミンを作り、ヨーグルトとは違う風味や食感を生み出します。また、ケフィアがよく食べられているコーカサス地方に暮らす高齢者の腸内には、善玉菌が多いことがわかっています。
乳酸菌の効果を高める摂取方法
摂取方法 | |
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+食物繊維 | 食物繊維は、乳酸菌のエサとなります。 |
+すっぱい食品 | 乳酸菌は酸性環境を好みます。 |
加熱しすぎない | 乳酸菌は熱に弱いため、生か低温で摂取しましょう。 |
継続的に | 乳酸菌などの善玉菌は腸内にずっと存在してくれないので、毎日継続的に摂取しましょう。 |
適量を | 乳酸菌を含む食品には、塩分や糖質が含まれています。乳酸菌を摂りたいあまり、それらを摂りすぎないように気をつけましょう。 |
まとめ
ヨーグルト以外にも乳酸菌を含む食品のキーワードは「発酵」でしたね。本記事でお伝えした9種類の食品は、すべて発酵させて作るものばかりでした。漬物や味噌など、日本で昔から食べられているものにも乳酸菌が含まれているのは驚きですね。中には普段目にしないような食品もありましたが、チーズやキムチ、納豆など、お近くのスーパーでいつでも手に入るものも。まずはそれらを食べることから始めてみてはいかがでしょうか?